「得体の知れない」という表現がありますが、「得体」とは何なのでしょうか。
「得体の知れない」は素性(すじょう)が分からない、真の姿や正体がわからない、怪しいといった意味の言葉です。
そして、「得体」には大きく2つの語源が考えられるそうです。
1つは、平安時代のお坊さんが着ていた服を「衣体(えたい)」と言っていたところに由来するというもの。
この服で宗派などが分かったことから、知らない着物を着ている人を「衣体」が知れないと表現しており、それが転じて「何者か分からない」という意味になったとする説です。
もう1つは、「体たらく」の漢字表記「為体」を音読みした「いたい」が変化した説です。
こちらの説は、今では悪い意味で使う「体たらく」が、昔は「ありさま」という意味を持ったことに注目しているようです。「為体(ありさま)が知れない」から転じて「どんな人か分からない」という意味になった流れです。