「東風(こち)」は、字のとおり「東から吹いてくる風」のことです。
その中でも特に春から夏にかけて吹く東寄りの風を指していて、この風が吹くと暖かくなるので春の季節の言葉とされているそうです。
一般の人にとっては春を知らせる風ですが、漁師たちにとっては海を荒らし、時化(しけ)をもたらす風だったので警戒されていたようです。
この言葉は漢字とはだいぶ違う読み方をします。「疾風」(はやて→はやち)、「嵐」(あらし。荒風?)などに見られるように、古くは風のことを「ち」あるいは「し」と言っていたようで、「こち」の「ち」はそこに由来するのではないかという説もあるようです。
同時に、「こ」は元々は「小」だったのではないかとも言われます。
古い言葉なのではっきりとは分からない点も多いのですが、もしかしたら昔の言い方を今に伝える貴重な言葉なのかもしれません。