「轍(てつ)を踏む」って、 いいこと?悪いこと?

「彼らは同じ轍を踏んだ」などのかたちで使われる「轍(てつ)を踏む」という表現ですが、これはいいことなんでしょうか、悪いことなんでしょうか。

「轍を踏む」というのは、「先人の失敗を繰り返す」という悪い意味で使われています。

「轍」は「わだち」とも読み、車輪やタイヤが通った後にできるくぼみのことを指します。後の車がこれを踏んでいくと、前の車と同じ道を通ることになることから、この意味に使われます。

しかし、単に同じ道を通るなら、良い意味でもおかしくありません。なぜ悪い意味になったのでしょうか。

この理由は判然としませんが、中国の四字熟語に「前車覆轍」というものがあります。これは「倒れた前の車の轍は、後の車への教訓だ」という意味で使われているようです。

この「前車覆轍」で「轍」を「先人の失敗」として使ったことから、日本では「轍を踏む」が「先人の失敗を繰り返す」という意味になったのかもしれません。