忙しくてあわただしいことを「てんてこ舞い」と言いますが、何が舞っているんでしょうか。
「てこ」については、使う道具からとび職人を「てこ」と呼んでいたことに由来します。江戸時代、とび職人は祭りのときに山車(だし)を組み立て、引きまわす時も前で先導、警護していました。そのため、山車の先導を「手棍前」(てこまえ)と呼びました。これがいつからか当て字で「手古舞」(てこまい)となったようです。その後、とび職人の先導はすたれて、女性が男装をして練り歩くものに変化しました。
「てん」の部分は、祭囃子(まつりばやし)の太鼓の音を「てん」(または「てんてこ」)と表しました。
祭囃子に合わせて踊ることを手古舞と合わせて「てんてこ舞」と言うようになったという説が有力です。祭りのときにはたくさん踊るので、のちにあわただしいという意味で使うようになったようです。