古代エジプトで発見されるものが有名な「ミイラ」ですが、漢字だと「木乃伊」と書きます。なぜ、このような書き方をするのでしょうか。
結論から書くと、中国での表記をそのまま輸入したためです。
中国では、遅くとも14世紀ごろには、ミイラを意味する英語「mummy」(マミー)やオランダ語「mummie」(マミィ)の発音が伝わっており、その音に当時の中国語での発音に近い字を当てた結果「木乃伊」という表記がされていたそうです。
日本には、16世紀ごろから南蛮貿易が始まった影響で、ポルトガル語やオランダ語が流入するようになりました。
当時、ミイラは薬としてアジア圏で出回っていたため、日本でも貿易を通じてミイラを買おうとする動きがあったそうです。
その影響か、ミイラを作る際に使っていた没薬(もつやく)というものを意味するポルトガル語の「mirra」またはオランダ語の「mirre」が転じて、「ミイラ」という音になり、17世紀にはそれがミイラ自体を意味する日本語として定着したようです。
その後、中国からミイラを意味する「木乃伊」という表記も入ってきたために両者が組み合わさり、「木乃伊」と書いて「ミイラ」と読むようになったと考えられているそうです。
ちなみに、「ミイラ取りがミイラになる」ということわざがあります。
これは「高価な薬になるミイラを取りに行くと、道中に砂漠などがあり険しいので、取りに行った人がミイラになってしまう」ことから「相手に何か働きかけようとして、取り込まれてしまうこと」を意味します。
実際にミイラを取りに行った人がミイラになったかどうかは分かりませんが、現実には偽物を売りつけられることもあったようです。