【昔の言葉】「是非(ぜひ)もない」の意味と使い方教えて

「城下まで攻められては是非もない、切腹しよう」「なぜ弟を討ったのですか」「あやつが敵方についたので、是非もなかったのだ」などのように使われる「是非もない」という言葉ですが、どんな意味なのでしょうか。

「是非もない」は「やむを得ない、仕方がない」という意味の言葉です。

現代語の「仕方がない」「やむを得ない」を、そのまま言い換えて使うことが出来ます。

「是非」は「良いことと悪いこと」という意味ですので、「良いも悪いもない」→「良いとか悪いとか言っている場合ではない」→「仕方がない」というようなイメージを持っておくと覚えやすいでしょう。

ネガティブな文脈で使われることが多いですが、肯定的な意味合いで使う場合もあるそうです。

例えば、「娘から応援されては是非もないと、父は頑張った」のような場合です。

もとは「是非なし」という古語で、昔は「ひたすらに」「当然だ」という意味もあったようですが、現代語ではこの意味で使われることはないそうです。

同じ意味で「是非もなし」「是非に及ばず」と言う場合もあります。

「是非もなし」は織田信長が本能寺の変で言ったとされている言葉として紹介されることもありますが、信長は「是非に及ばず」の方を言っていたようです。

このため、信長が出てくる大河ドラマなどでは「是非に及ばず」、あるいは「是非もなし」「是非もない」というセリフがあることが多いです。

ドラマでは、本能寺の変のシーンで、

「これは謀反か?いったい誰の仕業だ」
「明智のようです」
「・・・是非に及ばず(是非もなし)」

という流れになることが多いです。

もっとも、信長のこのセリフは現代語「是非もない」の「やむを得ない。諦めよう」という意味ではなく、「是非を考える必要はない。当然、応戦しよう」と解釈するべきだという考えもあるそうで、今だに決着がついていないようです。