【昔の言葉】「三国一(さんごくいち)」ってどこの国?

「三国一の花嫁」や「彼は三国一の強者だ」などのかたちで使われる「三国一」という表現ですが、どの国の中の一位を意味しているのでしょうか。

「三国一」という表現は、「日本(倭)、中国(唐)、インド(天竺・てんじく)」の中の一位という意味で、現代語では「世界一」を意味します。

この三国という表現を使った「三国無双」も、「三国(世界)の中で並ぶ者がいない」ということなので、「三国一」と似たような意味になります。

昔は、遠く大きな外国として認識されていたのが中国やインドぐらいしかなかったことから、このような表現になっていたようです。

また、「世界」という考え方は仏教に由来しますが、中国やインドは日本にとって仏教伝来の地であったことも、この二国が出てくることに関連するのかもしれません。

「三国一」という表現自体は室町時代あたりからよく使われるようになったと考えられているそうで、当時は一種の流行語のような存在だったようです。

ただ、「日中印の三国」=「世界」という考え方時代は、少なくとも平安時代にはあり、平安時代成立の日本最大の説話集である「今昔物語集」も「天竺部(インド)」「震旦部(中国)」「本朝部(日本)」の三部構成で、これで世界中の説話を集めたということになっているそうです。

現在も残っている「三国一の花嫁」(=世界一の花嫁)という言い方は、結婚披露宴などでは定番とされていた新婦への褒め言葉で、時代劇やドラマでも使われていたそうです。

近年はあまり使われなくなってきているようですが、聞く機会があるかもしれませんので、覚えておくと良いかもしれません。