時代劇などで「手伝ってもらい、かたじけない(かたじけねえ)」「かたじけないお言葉」のように使われる「かたじけない」ですが、どのような意味なのでしょうか。
「かたじけない」は「もったいない、恐れ多い」「自分にはもったいないぐらい、ありがたい」という意味で、現代では多くの場合感謝を述べる場合に使うようです。
「ありがとう」をより丁寧に、古風な言い回しで使いたいときに使うことができます。
ただ、丁寧な印象はありますが、単体では敬語ではないので、目上の人に使うことはできないとされているそうです。
しかし、「~していただきまして、かたじけなく存じます」のように敬語と組み合わせることで、目上の人に用いることができます。
「かたじけない」の語源にはいくつか説があり、はっきりした語源はよく分からないそうですが、日本書紀や風土記といった上代の書物にも出てくるため、かなり古くからある言葉だと考えられます。
当時から「ありがたい」「もったいない、申し訳ない」という意味があり、他に「面目ない、恥ずかしい」「顔が醜い」という意味もあったようです。
ただ、「顔が醜い」は上代でも1作品でしか出てこず、当時すでに廃れていた使い方なのではないかという見方があります。この意味が「かたじけない」の語源だという考えもありますが、今のところは結論が出ていないそうです。
「面目ない、恥ずかしい」は現在でも辞書にはありますが、中世以降はあまり使われなくなったため、基本的には「もったいない、恐れ多い」「自分にはもったいないぐらい、ありがたい」で使われていると考えてよいでしょう。