【昔の言葉】「十万億土(じゅうまんおくど)」の意味と使い方教えて

「十万億土(じゅうまんおくど)の冥土の使者が、闇に裁いて地獄に送る」や「悪いことしてると、お天道様に目つけられて、十万億土に行けないぞ」といったような使われ方をする「十万億土」ですが、どんな意味があるのでしょうか。

「十万億土」は、「極楽浄土」を意味する言葉です。

元々は、現世と極楽浄土の間に無数にある仏様がいる世界(一人の仏様に一つの世界)のことを指していたようですが、後に転じて「極楽浄土」そのものを意味するようになったそうです。

この「極楽浄土」は、「阿弥陀仏」(阿弥陀如来)がいる、苦しみの無い世界のことです。

 

鎌倉の大仏や奈良の大仏も阿弥陀仏を像にしたもので、日本においては昔から、多くの人が亡くなったあとに阿弥陀仏のいる極楽浄土へ行くことを願ってきたそうです。

したがって、「十万億土に行けるようにお祈りを欠かさない」といったように使うことができ、これは極楽浄土にそのまま言い換えることができます。

時代劇では、ハードボイルドなドラマであった「江戸の牙」という作品において、主人公たちの決め台詞として出てくるそうです。

「閻魔様のお遣えよ!血も涙も無え、てめえら鬼畜の大悪党、十万億土の冥土の使者が、闇に裁いて地獄に送る、江戸の牙、参上!」

これは、閻魔大王の使いであり、あの世の十万億土からきた使者である自分たちが悪党を成敗してやる、という意味です。

また、映画や漫画などでは「十万億土を踏みやがれ」という表現も出てくるそうです。

十万億土を踏むには命を落とす必要があるため、これは「あの世に行ってしまえ」というかなり乱暴な意味になります。

ただし、お坊さんが「十万億土を踏みなさい」といったことを言う場合は、「修行して心を入れ替えなさい」という意味になるそうです。