「難しい」は「むずかしい」と「むつかしい」どっちの読み?

「難しい」には「むずかしい」、「むつかしい」という2つの読み方がありますが、どちらが正しいのでしょうか。

結論から言うと、どちらも正しいそうです。

ただし、公的文書やメディアでは「むずかしい」の使用を原則としているため、私達が一般的に見聞きする機会が多いのは「むずかしい」のほうかもしれません。

 

元々、「難しい」の古語にあたる「難し」は「むつかし」と読まれていたようなので、古文の時代の共通語としては「むつかし」が使われていたと思われます。

しかし、東日本では言葉が濁る(濁点が付く)傾向にあるそうで、江戸時代から「むづかし」という用法が現れます。

現代語の「難しい」になってからは、共通語の基準が京都から東京に移動したため、東日本で使われている言葉のほうが共通語として使われる傾向が強まりました。

そのため、「むつかしい」が濁った「むづかしい」→「むずかしい」のほうが共通語として浸透するようになり、公的機関でも「むずかしい」の使用が原則となったため、現在では「むずかしい」を使う人のほうが多くなっているようです。

 

この東西で、濁る・濁らないが起こる例は他にもあり、例えば「山崎」は西日本では「やまさき」・東日本では「やまざき」と読まれることが多く、「中島」も西日本では「なかしま」・東日本では「なかじま」となることが多いそうです。

「難しい」は、昔は「むつかしい」が共通語だったのが、首都の移動に伴って方言だったはずの「むずかしい」のほうが共通語としての地位を獲得するという歴史と絡んだ面白いストーリーを持っている言葉のようです。

ただ、現在でも「むつかしい」という表記は認められているので、使う人がいても決して間違いというわけではありません。